2016年3月5日土曜日

ニュー・アトランティス:時代のマスタープラン

2016年3月6日

ニュー・アトランティス:時代のマスタープラン

http://cosmicconvergence.org/?p=13901

イルミニズム、フリーメイソン、そして
グレート・ホワイト・ブラザーフッド

ニューアトランティスは、勃興と失墜を繰り返してきました…

カリ・ユガ鉄器時代の戦争により、何度も邪魔されてきたのです。




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フランシス・ベーコン卿に導かれたエリザベス朝と、サンジェルマン伯爵に導かれたアメリカ共和国建国の父たち、ロシア大統領ウラジミール・プーチンによってクレムリンに結集した指導者たちの、隠された繋がりとは?

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6000年の長きに渡る、カリ・ユガの時代という物語があります。不和や争いの時代としても知られるこの時代は、マヤの長期暦と共に紀元前3113年ごろから始まりました。カリ・ユガは現代の鉄器時代と言い換えることもできます。多くの時代ごとの戦争や長らく続いている紛争によって定義されている現代の歴史は、実は極端に複雑で長引いているものではなく、本当に重要な出来事や人物は歴史の闇の中に隠れているのです。

現代では争いの時代と定義されている、この長い歴史という織物には、いくつかの重要な糸が混じっています。中でも最も重要と言えるのが、エジプト、シュメール、ペルシア、古代ギリシャ、古代ローマ帝国、大英帝国、そしてアメリカ合衆国です。しかしながら、こちらのエッセイではその中でも新しい時代である、アングロ—アメリカン現代史に焦点を当てていきましょう。

エリザベス一世


それでは、イギリスのエリザベス一世によるエリザベス朝と、13植民地でのアメリカ独立戦争を中心に論じてまいります。この二つの創立過程はニュー・アトランティスの形成が劇的に進展した時期でもありました。一言で言えば、16世紀のイングランドで発芽した独立気運と自由と国家主権の願いの種は、200年後にアメリカの土で完全に芽吹いたということです。

エリザベス朝ジャコビアン時代(1558年~1625年)から13植民地でのアメリカ独立戦争(1770年代~1783年)までの繋がりというのが飛躍しすぎているように受け止められ、権威ある歴史家たちにも理解が及んでいない部分ではあります。主人公であるエリザベス女王(ジェームズ王も)の時代と、アメリカ共和国の建国の父たちとの関連性が十分に認められていないためです。その結果、実際の歴史は失われいき、時間の砂の中に埋もれていき、時代の「戦勝国」によって意図的に歪められて教科書に記されていったのです。

この記事の副題:イルミニズムフリーメーソングレート・ホワイト・ブラザーフッドは、争いの時代の裏に隠された「時代のマスタープラン」の鍵を握る存在です。そしてその3つの存在は全て、インターネット上で間違った概念や主義、陰謀論と結び付けられて考えられ、現在では酷く誤解をされているのです。

それらに対する理解(特にフリーメーソンとイルミニズム)は更に難しくなってしまい、伝わることが無かった多くの真実の情報が、インターネット上の「ぬかるみ」の中に眠ったままになっています。更に、何世紀にもわたって意図的に嘘情報を一般人の間に流布されてきました。それが故意ではなかったとしても、これからお話する真実をお読みいただくにあたり、それらの偽情報は頭から外していただくべきでしょう。


エリザベス朝は世界への舞台、特にアメリカ共和国の始まりへの舞台を整えた


1558年から1603年までのエリザベス朝は、近代の社会を支配することになった秘密結社の出現を理解するために重要な時代です。エリザベス一世はその時代の最先端の知識層や啓蒙家に囲まれていました。イギリス史においては前例が無かった、まさに黄金時代と言える時代でした。または、特にヨーロッパ文化や啓もう活動家にとっては、西洋文化の最盛期とも評される時代でした。精神的知恵と一般教養、哲学的談話と芸術的表現、科学的追求と秘教的学びといった多様な分野における高度な知識は、エリザベス女王の王家とロンドンの上流社会では身に着けるべき最低限の教養となりました。

ソロモン王が統治していた頃のエルサレムや西暦100年頃のローマ帝国のように、1588年のスペイン軍の決定的敗北を機に、ロンドンは事実上世界の中心となりました。1600年のイギリス東インド会社の設立は、大英帝国の創設への足掛かりとなりました。

イギリス東インド会社(EIC)は元々政治家とロンドン商人の会社によって、東インドと貿易をするために設立されました。栄光の東インド会社(HEIC)とも呼ばれていました。イギリス株式資本の会社として東インドとの貿易を追求していましたが、結果的にインド亜大陸、中国の清王朝、北西フロンティア州、バルーチスターンなどと取引をしていました。コットン、絹、藍染、塩、香辛料、茶、アヘンなどの日用品を通して、会社は世界の貿易の半分を占めるまでに成長しました。インドにおける大英帝国の支配の始まりでもありました。

1600年12月31日、エリザベス女王による勅許を受けることで、同時期に形成された会社の中でも最古のヨーロッパ人による東インド会社となりました。

当時の人々や歴史家たちにとって、「世界で最も偉大な商人社会」と刻印されたイギリス東インド会社は、目もくらむような巨万の富の象徴として評されたばかりでなく、同時に残酷で搾取的な新しいビジネスモデルとしても評されました。[1]


大英帝国が「太陽の沈まない帝国」として君臨したことには、こういった背景がありました。これによって、英語を話す国が地球上でもっとも裕福で影響力のある国となっているのも理解することができます。エリザベス朝における文豪や科学者たちの展望と決意、計画とその実行力を特に実証したのが、アメリカ合衆国でした。



何世紀もの時を経た「マスタープラン」を実行するため、アメリカ合衆国をニュー・アトランティスにするために奔走した、主要メンバーがエリザベス朝にいました。この「マスタープラン」は続くジャコビアン時代において更にその牽引力を増していきました。

そこで、フランシス・ベーコン卿ロジャー・ベーコンに話が及びます

エリザベス1世の治世が、多くの非凡で比類のない点で際立っていたことは、すでに明らかである。しかし、秘密結社を発展させたのは、宮廷内の異常に賢明で真に才能ある助言者たちであった。 フランシス・ベーコン卿は、ウィリアム・シェイクスピアの数多くの作品の直接的な責任者であると、世界の偉大な作家の何人かは考えている。エリザベス女王の時代より3世紀前に、イギリスの哲学者でフランシスコ会修道士のロジャー・ベーコン(1214-1294)がいて、彼はしばしば「科学的方法の父」と考えられている。 フランシス・ベーコンとロジャー・ベーコンが同じ姓であることは、彼らの真のつながりが明らかになれば、驚くにはあたらないだろう。

では、イギリス史における二人の巨人とは、いったい誰でしょうか?そして、ニュー・アトランティス(アメリカ合衆国)の創始と建設について、どのような影響を与えていたのでしょうか?

フランシス・ベーコン卿

フランシス・ベーコン卿はただの有名な文豪や哲学者ではありません。当時としてはオカルト科学や芸術に非常に精通した人物でした。端的に言えば、「エリザベス期の古き良きイングランド」を代表する人物と言えるでしょう。フランシス・ベーコンはエリザベス朝では身内のコネクションもあって、法曹界の高官として活躍していました。彼はエリザベス女王の息子であったという歴史的な証拠も残っており、その為女王からは寵愛を受けていた役人でした。フランシス・ドレイクとエリザベス女王の非常に興味深い関係が、この時代全体を形作っていたのです。


ロジャー・ベーコンと科学的実験的手法


フランシス・ベーコンとロジャー・ベーコンには興味深い共通点があります。「科学的実験的手法と中世オカルディズムの発明の父」であるという点です。科学的手法の先駆者ということに加え、ロジャー・ベーコンは13世紀としてはずば抜けた自然科学/哲学者として見られています:


[2]

(訳注:引用された上記のページには、フランシス・ベーコンとロジャー・ベーコンの、科学的実験的手法の先駆者としての共通点が論じられています。)


なぜ、二人のベーコンの共通点が重要なのか?それは両者ともに、ニュー・アトランティスの創造へ特筆すべき役割を持っていたためです。西にある新世界が彼らの同国人によって発見され、時を経て植民地化されることを予見しました。彼らは、ニュー・アトランティス  を12,000年前に海に沈んだ昔のアトランティスを " 灰から蘇らせる" ため、この新しい土地を汚さないまま保存しておく重要性を理解していたのです。

元のアトランティスの科学とテクノロジーが現代の文明のそれと比べてもはるかに進んでいたことは、秘教を受け継いだ特定の人々の間では良く知られていることです。そして、それらの誤った使い方をした社会によって、自らの滅びの運命を決定づけてしまったことも。実際、よく言われているのは、アトランティスはその小惑星偏向技術のあまりの乱用によって、最後は大西洋に沈んだということです。バミューダトライアングルの3つの地点は、アトランティスのクリスタルによるエネルギー生成技術の名残であるとされています。クリスタルを基にしたエネルギーグリッドは、アトランティスのエネルギー源として使用されていただけでなく、当時の堕落した支配階級の者たちによって、極端な乱用をされていたのです。

400年の間、アトランティスからは繰り返し同じ魂が大西洋に戻ってきて、それを今こそ正そうとしているのです。いくつかの秘教サークルでは、大英帝国の時代のイギリス王や女王はローマ帝国の魂の転生者であり、ニュー・アトランティスのために従事している魂と伝えられています。今日においても、北大西洋の周りにある国々には、今からおよそ12,000年前に沈んだ、アトランティスに住んでいた魂が転生した人々が住んでいます。

ロジャー・ベーコンとフランシス・ベーコン。過去数千年において、サンジェルマン伯爵を除いては、みずがめ座の新時代、あるいは科学とテクノロジーとニュー・アトランティスの創成の舞台を準備している直系の人物であると言えるでしょう。フランシス・ベーコンの貢献について、以下のような記述があります:

"ベーコンは経験論の父と呼ばれています。彼の仕事は、ベーコン法とも呼ばれる科学的実証のための帰納的方法論を確立し普及させました 。自然の全てを徹底した手順の下で実証していく彼の手法は、科学界の修辞的かつ理論的な枠組みに新たな転換期を取り入れることに成功しました。その大部分は、今日でも正しい方法論の概念として取り入れられています。[3]

 



フランシス・ベーコン卿:本物のイギリス人ルネッサンスマン


エリザベス女王の宮廷顧問たちのなかでも、フランシス・ベーコンは特に新世界の「耕稼」としての役割を果たしていました。彼のペンネームである、ウィリアム・シェイクスピアの名の下で書かれた多種多様な文献は、北アメリカの処女地で新アトランティスを確立する彼の計画を理解するために不可欠なものです。シェイクスピアの各コメディーと悲劇、歴史と詩の構成は、コード化された秘密の情報を含んでおり、それらを彼の秘密共有者に向けて、惑星の世界全体に広めるためのものでした。


[4]

(訳注: 上記の引用された文章には、フランシス・ベーコンが探検家ローリーのアメリカ大陸への進出の支援を惜しまなかったことと、シェイクスピアのペンネームの下で質、量ともに想像できないほど作品を一世代で生み出した彼の功績について記述があります)

フランシス・ベーコンとしての著作、そしてウィリアム・シェイクスピアとしての作品集だけでなく、彼は聖書を初めて英語に翻訳したという大きな功績もあります。ジェームズ王版、または欽定訳聖書と呼ばれています。言い換えれば、ベーコンは一人で英語の歴史における2大重要作品を生み出した人物ということです。事実、ジェームズ王版はキリスト教世界の宗教文学の歴史の中で、最も重要な自由化運動となりました。ベーコンのキング・ジェームズ聖書の出版の出版により、ローマ教皇権(教皇無謬性という概念)からの解放、そして教導権(訳注:教義を教えることができる権利で、教皇を中心とする司教組織に与えられているとするもののことです)という教義的権威からの解放は、世界中で著しく加速されました。

「ウィリアム・シェイクスピア」の作品は読まれ、引用され、演奏され、親しまれ、敬われてきました。こんなにも崇高な、比類なき作品集のことを聞いたことない人は、いないでしょう。各演劇やソネットによって表現される、その芸術的美しさとスピリチュアルな知恵は何世紀もの間、無数の魂にインスピレーションを与えてきました!シェイクスピア(ベーコンとしても知られている)の傑作文学は、国民や多くの国家そのものを教育し、啓発し、力を与え、啓蒙する役割を果たしたと言えるでしょう。

いったいどうしたらよいのか 問題はそこだ
荒れ狂う運命の矢先を
心で受けて耐え忍ぶのがよいのか
それとも敢然と立ち上がり寄せ来る苦難を跳ね除けて
終わらせるべきなのか?

Spoken by Hamlet, Act 3 Scene 1 [5]


英語の文学史において、シェイクスピアの文学は最高到達点であることは、イギリスを含む世界の歴史家の間では認識されています。その並外れた偉業を成し遂げたのは、過去500年間を見渡してもほんの数人の選ばれた者だけとなることでしょう。上記のような理由から、フランシス・ベーコン卿とその協力者が比類なき芸術作品を生み出したという事実は明らかです。

しかし、「ウィリアム・シェイクスピア」の作品と関係する、もう一つの重要な物語がその背景には隠されています。地球の歴史上で最初の諜報機関として知られる、スパイ・ネットワークがロンドンで結集されました。もちろん、スパイや諜報機関というのは常に存在していましたが、イギリスでは世界中をスパイできるようになったのです。この初期の情報機関の基盤は、エリザベス女王宮殿にいた主要人物によって作られました。 

主要な人物は、やはりフランシス・ベーコンと、もう一人はジョン・ディーでした。しかしながら、解読不能な暗号とそのシステムを作ることに密接に関わったのはベーコンでした。その目的のために、シェイクスピアの文学作品の多くは明らかにコード化されて、急速に進化する世界のスパイネットワークを通じて情報を広めるために使用されていました。このように、シェイクスピアの悲劇と喜劇には、対応する暗号文と暗号コードを持っている人だけが詩の中にコード化された機密情報を得ることができたのです。

もちろん、ジョン・ディーもこの取り組みに多大な貢献をしました。その貢献により、結果的にニュー・アトランティスの当初の計画を元に戻すことができました。ベーコンとディーは、両方ともこの世界の深淵の秘密を知っていた人物でした。エリザベス朝とヤコブの時代の間、その背景では文字通り戦争が起こっていました。結果は、見ての通りですが、現在イルミナティの駒と犯罪者によってホワイトハウスを不正に占領している現在のNWOのリーダーと同じように、運命で定められていました。


魔術博士ジョン・ディー

魔術博士ジョン・ディー:エリザベス朝の魔王、助言者、謎の男


フランシス・ベーコンには、彼のニュー・アトランティスの勃興のために最適な指導者たちがついていました。彼らは16世紀、17世紀のイギリスにおける、本物の有力者たちでした。まず最初に、ジョン・ディーはニュー・アトランティスの種を北アメリカ大陸の地で発芽させるために、極めて重要な指導者として働いてくれました。ジョン・ディーの功績はエリザベス女王の占星術師や預言者としてスペイン無敵艦隊を打ち負かしたという功績のみに留まらず、フランシス・ベーコンを採用した家族にも雇われていました。


"ベーコンは宮廷の中で、レスターに教えを説き、エリザベスに国事について助言した男に会うことになる ー イアン・フレミングが007のジェームズ・ボンドのモデルとした、史上初、そして恐らくもう同じような人物は現れないであろう、ジョン・ディー博士という人物である。

ジョン・ディー(1527-1608)は、魔法使い、哲学者、錬金術師という魅力的な天才であり、ヨーロッパ中の王室や知識人たちの関心を集めた。彼の考えや評判には、きっと驚かない人はいないだろう。

ディー博士は、新世界をナビゲートする上で不可欠だった地理学と微積分から、数学、占星術、錬金術、カバラ、暗号文章、宗教、建築、科学までマスターしていた。ディーの形而上学は、数学のみに熱中していた密封社会に新たな風を吹き込んだ。モルトレイクの川沿いの村にある彼の図書館は、哲学、科学、秘教についての数千冊にも渡る膨大なコレクションが収められていた。ケンブリッジ大学の図書館が451冊しか所持していないのと比べると、非常に多くの書籍を所持していたことが分かる。"[6]


ジョン・ディー博士の背景については、エリザベス朝の章には欠かせない重要な物語です。ディーの持ち込んだオカルトパワーと魔法は、は、後の大英帝国という世界企業を作り上げるほど並外れたものだったということです。ジョン・ディーの直接の影響によるスペイン無敵艦隊の敗北という出来事無くして、イギリスの勝利という歴史的事実は在り得なかったことでしょう。


ここで、このような疑問も湧いてくるかもしれません:ジョン・ディー魔術博士は、宇宙の闇の勢力を呼び出して、大英帝国を支援してもらったのでは?もっと言えば、彼のオカルトパワーを駆使してスペイン無敵艦隊を沈めたんじゃないか?数世紀にわたり、その後成立した大英帝国の運命を決定づけたこの瞬間について、様々な憶測がなされてきました。結局のところ、この戦いがマドリッドとロンドンの間の、世界的パワーバランスを根本的に変えた、最も重大な戦闘だったのです。


彼の影響を理解する唯一の方法として、ディーがスペイン無敵艦隊の敗北について見ていたのが天気の変化についてだったということを理解するのが良いでしょう。スペイン艦隊は悪天候だけでなく、暴風雨や波によって船や兵士を失い、延々と悩まされていたことが判っています。スペイン人のイギリス領への全ての行程を、どこからともなくやってくる凶暴な天気が襲いました。その背景には、エリザベス女王への助言と、海軍の活躍がありました。ディーによるイギリス海軍への数々の導きが背景にあったことは多く指摘されているところです。特に、スペイン無敵艦隊との戦いにおいては、海軍はディーの指示通りに動いていました。


スペイン無敵艦隊の沈没は、コロンブスの時代から続いた新世界においてのスペインの影響力の終焉と、ヨーロッパ諸国の北米大陸への競争の始まりとなる出来事となりました。

ディーは、毎日の天気を既に知っていたということが推測されています。一方で、彼の魔法の力によって天候を操り、スペイン無敵艦隊を壊滅に追いやったと主張する者もいます:


"1572年、天に新しい星が現れました。それは実に17ヵ月に渡って毎晩見えていました(カシオペア星座でのタイプIaの超新星のことであったと思われます)。大衆にとって、それは終末の日を予感させる恐ろしいものとして映っていました。ディーにとっては、新世界秩序、またはイギリスのプロテスタント帝国(ローマ法王によるものではなく)の訪れを意味するものでした。

ディーの言及した「イギリス帝国」。それは彼にとって、アーサー王による統治の復活以外の何物でもありませんでした。彼はアーサー王の時代こそが、新世界、そしてアメリカこそがアトランティスであり、エリザベス女王こそがアーサーの顕在であり、彼自身はマーリンであると信じていました。彼はアメリカを形成し、植民地としていき、アジアに続く北東の道を切り開き、全世界の秘教の智慧を手にしようとさえ考えていました。1577年から1580年の間の世界情勢において、彼がフランシス・ドレイクの背後で参謀として働きかけていた証拠が多く残っています。ドレイクがオレゴン以北に進出するにつれ、ディー自身も新たに発見された、カナダを含む多くの土地を自分のものとする権利を与えられていました。

20世紀の終わりまで続いた太陽が沈まない帝国の物語は、そうして始まりました。歴史上最も成功した(または最も残忍な)帝国、何百年もの間地球のほとんどの土地を支配した帝国は、現代文明の礎を作りました。そして、それはクリスタルの玉を通して天使と話していた一人の錬金術師によって影から操られていたのでしょうか?"[7]


フランシス・ベーコン卿の忠実で、才能あふれ、賢明な仲間には、他にどういう人がいたのでしょうか?


ウォルター・ローリー卿

フランシス・ベーコンは当時の最も才能ある仲間たちに恵まれ、緊密に連絡を取っていました。16世紀から17世紀の間に名を残した、イギリスの著名人全てと言っても過言ではありません。作家、哲学者、政治家、探検家、海のキャプテンたち、兵士、スパイなど、あらゆる分野の人がいました。その中に、ウォルター・ローリー卿はいました。彼もまた、文学や政治でその名をエリザベス朝に轟かせた有名人の一人でした。彼は新世界の植民地化に様々な貢献をしました。


ローリーはノースカロライナからフロリダまでを探検し、「バージン・クイーン」をを称えて「バージニア州」と名づけられました。

1584年の北アメリカにおけるローリーのバージニア植民地計画は、ロアノーク島での失敗をもって終焉したが、それに続く植民地のための道を切り開くことに成功した。"[8]


ウォルター・ローリー卿の他にも、フランシス・ベーコン卿を支えた仲間の中には、エドワード・ド・ヴィアー (第17代オックスフォード伯)フランシス・ドレイク卿フランシス・ウォルシンガム卿トマス・ホッブズエドマンド・スペンサージョン・ダンベン・ジョンソンジョン・セル​​デンクリストファー・マーロウウィリアム・ローリー博士ランスロット・アンドリューズトビー・マシュージョージ・ウィザートーマス・ハリオット、そしてベーコンの兄としても知られるアンソニー・ベーコンがいました。16世紀を代表するようなこの啓蒙家たちの集団は、大英帝国の知識層を代表しているようです。そして、このリストに加わるもう一人がいます。この人無くして、後の千年紀のドラマは展開しなかったことでしょう。


フランシス・ドレイク卿

フランシス・ドレイク卿フェルディナンド・マゼランが試みた、地球の2回目の周回を成功させました。"フィリピンのマクタン島の戦いで亡くなった為、マゼランはその目的を達することはできませんでした。"[9] イギリス人による地球一周というこの偉業は、大英帝国によっての幸先のいい出来事でした。これによって、特に貿易・商取引、外交、戦争の分野で、英語が世界の支配的な言語になることを確実にし、さらに大規模な貿易利益の礎を作り上げることになったのです。


グレート・ホワイト・ブラザーフッド


歴史の教科書には、ニューアトランティスの設立に関する最も重大な出来事については、ほとんど記載がありません。歴史の影に見え隠れする、グレート・ホワイト・ブラザーフッド(聖白色同胞団)の偉大なメンバーが、いつも我々を監督し、大きな影響を与えてきたことについては全く言及されずにいます。サンジェルマン伯爵のような、偉大なるアセンデッドマスターたちについて、聞いたことがありますでしょうか?クートフーミエルモリヤマハ・チョハンジュワルクールレディー・ナダやレディー・ポーシャはいかがでしょうか?真実として、現在の人類の物質的な豊かさと精神的な発展に対して神聖な役目を果たしてきたのが、これらのアセンデッドマスターの面々なのです。 


ブラヴァツキーと、向かって左からクートフーミ、エルモリヤ、サンジェルマン


*こちらの写真が撮られた時には、サンジェルマンは既に他界していたとされている。彼は「公式的には」1784年2月27日に亡くなったとされ、ヘレナ・ブラヴァツキ—は1831年7月31日に生まれ、1891年5月8日に亡くなったとされている。アセンデッドマスターの能力の一端が垣間見えます。


現在の人類の解放に携わった彼らの役割、そしてグレートホワイトブラザーフッドの役割を理解するだけでも、ニュー・アトランティスの真実を知るために必要となってきます。特にサンジェルマン伯爵の過去1000年における活躍は、他に見られないほどの影響力がありました。その代表例として、彼が秘密裏にアメリカ共和国の創設に携わっていたという事実があります。アメリカ共和国は、後にアメリカ合衆国となりました。彼の精神的な智慧と、「アメリカ創造」の包括的な知識と導き無くして、今日のアメリカ合衆国は存在していなかったことでしょう。


サンジェルマン伯爵を知るために、3つのポイントを押さえておくべきでしょう。第一に、この大人物は、普通の人間ではないという点です。彼はアセンデッドマスターその人であり、グレート・ホワイト・ブラザーフッドのリーダーなのです。第二に、彼が現代の人類のための「紫の炎」の守護者として選ばれし者だという点です(前守護者は観音菩薩でした)。第三に、彼がアメリカ合衆国の守護聖人であり、アメリカ建国の父として、グレート・ホワイト・ブラザーフッドでは最も位が高いと考えられています。


サンジェルマン伯爵は特別な役割を多く持っています。彼の人類全体に対しての崇高な目的を知れば、彼に対して無礼な態度を取ることは許されないと分かるでしょう。サンジェルマンの神聖なミッション、それは惑星地球の人類の幸福レベルを高めることです。他の度の魂にも、果たせなかったことでした。限られた見解しか持たない人間によって書かれた教科書などの前で、彼の人類に対しての貢献の光は決して霞むことは無いでしょう。賢明な人でも無知な人でも、サンジェルマンのグレート・ホワイト・ブラザーフッドに対して心を開くことで、その恩恵を受けられることでしょう。


アメリカ共和国の父として、17世紀のヨーロッパ諸国では、サンジェルマンは良く知られていました。何か国語でも当時のヨーロッパ言語を話すことができ、その熟練の交渉術は、国境を渡ることが多くなった当時にとって正に必要なスキルでした。アメリカ北部の駆け出しの13植民地にとって、その外交術は多くの不可能を可能にしました。その政治行動は、フランシス・ベーコン卿のものと並び評されるものでした。ベーコンもまた、新世界にユートピア社会を創り出すことをライフワークとしていたからです。


"その生涯において、フランシス・ベーコンの一番の望みとは、大西洋の先にある地にユートピア、即ちニュー・アトランティスを創る事でした。そこは自由市民のための社会で、賢人と科学者で構成される政府が、フリーメーソンと薔薇十字団の信念を持って、社会、政治、経済を治めるというものでした。大法官として、アメリカの植民地化を積極的に推し進めたのも、最初の植民地バージニアに彼の息子を送ったのも、そのような理由からでした。トマス・ペイントーマス・ジェファーソン、または薔薇十字団-フリーメーソンの彼の追従者を通して、最も特筆すべき人物はジョージ・ワシントンベンジャミン・フランクリンでしょう。ベーコンは彼らを通して、自らの政治哲学を新しい国へ投影しようとしていました。

ベーコンの研究家マンリー・ホールは著書のSecret Destiny of Americaの中で、1776年の独立宣言の署名に先立って、謎の薔薇十字団の哲学者[サンジェルマン]の存在があったとこについて触れています。彼は厳格な草食主義で、地面から生えた植物しか口にしなかったそうです。そして彼は、フランクリンとワシントンの友人であり、恩師でもありました。彼はこの新しい共和国の創造に、大きな役割を果たしていました。彼が確かに存在していた記録があるにも関わらず、ほとんどの歴史家は彼の存在について言及しないのは大きな謎です。

彼は「教授」と呼ばれていました。フランクリンとワシントンと共に、1775年の大陸会議で選出され、アメリカ国旗のデザインをしました。委員会によってそのデザインは採用され、ベッツィー・ロスを通して最初の旗を作りました。

それから一年後の1776年7月4日、この名も知られていない謎の紳士は、独立記念館の中に突如姿を現し、トーマス・ジェファーソンが草稿を書いた記念すべき独立宣言に署名するのをためらっていた面々を鼓舞するような演説をしました。そしてこの草稿は、実はフリーメーソンと薔薇十字団の創立者であるフランシス・ベーコンのアイデアでした。” [10]


フランシス・ベーコン卿が薔薇十字団の創設者であり、フリーメーソンの創設者でもあることは知られています。そして、サンジェルマンはその両方を使って科学の発展と世界の友愛精神の向上を劇的に促しました。彼の名は18世紀のヨーロッパ諸国の王室に知られていきました。行く先々で、錬金術のマスター、聡明な哲学者、優れた音楽家、頂点を極めた芸術家、弁論の達人、外交の専門家などと評されました。サンジェルマンはオカルト化学である錬金術を用いて、あらゆる貴重な宝石や貴金属をリクエスト通りに作り出すことができました。


サンジェルマン伯爵

彼が「近代科学の父」と呼ばれていたのは、彼がスピリチュアルの高度な熟練者であることと直接の関連性があります。生まれ変わりについて少し知識がおありの方には、サンジェルマン伯爵はロジャー・ベーコンとフランシス・ベーコンの生まれ変わりであることが判るでしょう。つまり、この偉大な魂は過去750年にわたり、必要となってくる芸術や科学の教えを通して、文明を大きく前進させようと転生し続けてきたのです。


次の文章は、彼の非常に多岐に渡る業績を簡潔に説明してくれます:サンジェルマン伯爵は歴史書にほとんど描かれていないが、封建制度の時代の観点から見た時に、彼の人類史に対しての偉大なる影響力を理解できるはずもなかったのでしょう。自分の生活の保障の為に主に従うという暗黒時代の中で、彼の数多くの斬新的な働きによって人類は前に進むことができました。彼はまさに、文明の前進に貢献するために数世紀にわたって転生を繰り返してきてくれました。


賢者や予言者、聖人やシッダ、アセンデッドマスターやスピリチュアルマスター、高次の魂やライトワーカーは数多く存在します。サンジェルマンは人類全体の進化を見守ってきました。彼らの存在感を、歴史上の重要な出来事の影に感じることができます。彼らの助言や一押しが無ければ、我々の歴史はすぐにカリ・ユガの時代に転がり落ちていったことでしょう。


"独立宣言の署名の時に、忽然と現れた人というのがサンジェルマンであると言われています。彼の突然の出現と、最初の署名への激励に、一同皆仰天しました。" [11]


グレート・ホワイト・ブラザーフッドについての補足情報


グレート・ホワイト・ブラザーフッドは、運命に選ばれた人間や精神的発達を遂げた組織を通じて世界に影響を及ぼしてきました。インターネットで彼らの名前が出回るにつれ、過去がベールに包まれた謎の組織がいくつかあったことに気づく人が多くなりました。フリーメーソンやイルミニズム、薔薇十字団や神智学団体、テンプル騎士団やシオン修道会といった名前は、どなたでも一度は耳にしたことがあるでしょう。その中でも特に謎に包まれた組織が、過去1000年間ずっと人類の歴史に影響を与えてきたのです。


そのことが理由で、前述のグループは「なぜか」極悪イルミナティの仲間だと言いがかりをつけられているのです。これは非常に重要なポイントです。「争いの時代」の中では特に、有力な組織が公的に知られるようになると、その組織に注意が一挙に集まります。その組織がより強力でより資金提供を受けるようになると、それを奪おうとする者たちの標的になりやすくなるのです。そのやり口に関わらず「奪おうとする者」は必然的にそういった妥協した秘密組織を狙ってくるのです。


グレート・ホワイト・ブラザーフッドの代表者が常に秘密裏に行動しているのは、こういった理由があるからなのです。メンバーの正体やアジェンダが開かされてしまっては、せっかくの努力が水の泡となってしまいます。ほとんどの善良な秘密組織のことはどの本にも書かれておらず、Wikipediaにも書かれていません。ですが、それが何故なのかを理解することが大事です。


残念なことに、これらの秘密組織の一員として変化の為に奔走した勇敢なエージェントの努力にもかかわらず、その組織は強引に乗っ取られ、人に憎まれる不名誉な組織として作り替えられてしまいました。良く知られている例として、アメリカ合衆国建国の父として知られる人物は、いずれもフリーメーソンに所属していました。彼らはイギリスにあるそれぞれのロッジに所属しており、それぞれの植民地でロッジを建設していきました。ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンはその中でも有名になっただけです。


ここで、彼らがフリーメーソンの33階級であったかという問いは重要ではありません。何故なら、彼らの全てのロッジの目的は、イギリス帝国主義の圧制を転覆させるという点にあったからです。実際に、13植民地の間に建てられたロッジ間のネットワークは、独立戦争の間に非常に活発でした。地下工作やスパイ・ネットワークなどの彼らの秘密の作戦が無ければ、イギリスからこのような若い植民地を守り抜くことは難しかったでしょう。特にジョージ・ワシントンは非常に効果的なスパイ・ネットワークを駆使し、アメリカ合衆国の独立を成し遂げたことは良く知られています。



イルミナティ


その運命は、やってきました。悪名高いイルミナティは、独立宣言に署名された同じ年に設立されました。1776年5月、ドイツ人の哲学者ヨハン・アダム・ヴァイスハオプトが、バイエルンで「イルミナティの秩序」を創設しました。


革命の時代の中、ヴァイスハオプトの「当初の」イルミナティの目的は崇高なもので、良い意思を伝えるものであったと言われています。この秘密結社は、次の彼の言葉が示しているように、人類を進化させることでした:


"秘密組織が乱立している昨今、逆に私はこの人間の欠点を利用し、本当に価値がある公共の利のための組織を作ることにした。教会や権力者が本来やらなければならない善行を、私がやるしかないと思ったからだ。" [12]


イルミナティが悪い方向へ転がり落ちる数年前、ヴァイスハオプトが取った致命的な決断を取っていました。彼は、イエズス会が完全管理していた役職である、カノン法の教授になることにしたのです。"彼が7歳の時からイエズス会の学校に通っていたということも、注目すべき点です。彼はその後、インゴルシュタット大学に入学し、1768年に20歳で法律の博士号を取得しました。1772年、彼は法学の教授になりました。" [13]  悲劇なのは、素朴で理想主義的だったヴァイスハオプトが、イエズス会の考えと観点に沿った真面目な弁護士(ローマカトリック教会のカノン法の教授)に育ったということです。イエズス会が歴史の中でローマカトリック教会の軍事力として機能してきたことは良く知られています。イエズス会は不自然なほど軍隊に似た組織編成をしており、イエズス会はカトリック教会のヒエラルキーのトップに君臨する事実上の独裁者です。

そういった理由もあり、バイエルンに立ち上げられたイルミナティの未来へのミッションは、元々のものから根本的に違う方向に行ってしまいました。バイエルンの中部が、アドルフ・ヒトラーの国家社会主義の温床となったことは歴史の偶然ではありません。ヒトラーのお気に入りの場所をバイエルンに建てていっただけでなく(例:ベルヒテスガーデンにあったケールシュタインハウス)、ナチのプロモーターは更に南ドイツを踏み台として第三帝国を作り上げていきました。キリスト教社会主義はイエズス会によって提唱された政治、経済、社会システムであり、これをあちこちに広めていきました。

国家(キリスト教)社会主義は、共産主義と同じように、表向き悪くは見えません。それを彼らが、実行に移すまでは。そこが要点です。

地上は、資本主義と共産主義、ファシズムと社会主義、自由主義と全体主義、民主主義と専制主義のような、二極(二元性)によって定義されます。これらの「主義(イズム)」はすべて過去250年にわたって、程度は様々ですが、制定されてきました。そして、全て悲惨な失敗という結末に至りました…致命的な欠陥があるこれらの政治経済システムを推し進めてきた者達の手によって。

無理に組織を前進させようとして自分に頼りすぎるようになると、たとえそれがどれほど優れた崇高な努力であっても、いつも救い難い結末を迎えるようになっています。過去300年における、多くの政治/社会運動や、革命や内戦には、いつも良い意図を持つ勢力が背後にいたとは限りません。結果として、それらの失敗は運命づけられたのです。ほとんどが、極めて絶望的な失敗となりました。

良い意思を持っていた革命家や変革家も、多くいました。「地獄への道は善意で舗装されている」とは、よく言われているし、感じるところでしょう。ユーラシア大陸やアメリカ大陸の過去250年を振り返って分析してみると、この真理に沿った多くの努力の跡が見受けられます。


今のイルミナティの教義は、スピリチュアルマスターによって実践されていたイルミニズムとは全く異なります。


起源と目的は両方とも大きく異なりますが、初期のイルミナティによって実践されていたイルミニズムは、真実を探求するフリーメーソンの派閥にも後々学ばれていきました。この二つには共通点があります:どちらも大きく事実を捻じ曲げられ、誤解されているという点です。


薔薇十字団テンプル騎士団もそうですが、何世紀にもわたって真実の歴史は隠されてきて、それらの儀式の表面的な部分や難解な文書がほんの少しだけ表に出てきました。多くの噂や、何かが書かれている羊皮紙が世間を飛び交いました。少なくとも建国の父たちの秘密組織についてほんの少しでも知っていれば、数世紀にわたる彼らのミッションについての理解が深まることでしょう。


イルミニズムは、今日のイルミナティによっても実践されています。フリーメーソンもロッジごとに行っていますが、それらは神性を得ようと知識の断片でやっていることに過ぎないのです。そこには、スピリチュアルの実践もなければ、神性な儀式もありません。18世紀のイルミナティはスピリチュアルについての真の探求心がありました。特に宗教的価値観を共有する組織であるという点についてです。今日のイルミナティは、 I L L U M I N A T I という名前を乗っ取られた組織であって、元々の組織やミッションとかかけ離れたものです。


何人かの研究家によれば、21世紀のイルミナティは2世紀半のイエズス会の影響を受けて、イエズス会の化身へと変化していると指摘しています。イエズス会は軍事組織であり、そのメンバーはキリスト兵士と呼ばれています。どこへ行っても聞く彼らについての良い評判は、実際は(ユダヤ人のように)イエズス会がいくつもの国から追い出されたということに由来するものです。


神智学団体結成当時の会合

ヘレナ・ブラヴァツキ−と神智学団体

さらに最近の組織では、神智学団体が捻じ曲げられた解釈と誤解された組織として挙げられます。神智学団体は秘密主義ではなかったために、他の団体よりもう少し考察がしやすいです。19世紀から20世紀の間に、多くの真実を明らかにする本が、この団体のメンバーによって書かれました。

三人の設立者のうちの一人、ヘレナ・ブラヴァツキー。彼女のことを、ニューエイジの祖母として、尊敬する人も少なくないと思います。当時の女性の立場から、ブラヴァツキーは多くの批判家の矢面に立たされました。彼女が活動していた1800年代の後半において、彼女の霊的到達レベルは圧倒的高レベルであったため、誰も理解ができなかったためです。

ヘレナ・ブラヴァツキーと神智学の物語は、スピリチュアルな組織がどのように意図的に不当な評価を与えられてきたかをよく表しています。彼女は世界の精神性を向上させようと誠実で熱心な心を持っていました。そしてその心は、彼女をインドのチェンナイに組織の本部を移転させるように導きました。彼女のカリスマ性は、多くの同志たちの魂を惹きつけました。ルドルフ・シュタイナーアニー・ベサントアリス・ベイリーチャールズ・ウェブスター・レッドビーターヘンリー・スティール・オルコットウィリアム・クアン・ジャッジジッドゥ・クリシュナムルティなどは、彼女に引き寄せられた人々の一部でした。


アリス・ベイリーのルシス・トラスト(Lucis Trust)は、元々事前的で大らかな団体が、最もネガティブなルシファーと結び付けられているという、完璧な例です。精神世界の知識を持たない人々が、ルシス・トラストに対して不当な批判を浴びせていますが、こういった人々には非難する資格がそもそも無いのです。ルシスとは光を意味し、特に天上の至高の光の知識と至高の智慧のことを指しています。

秘教占星術と秘教心理学、異例のヒーリングや東洋の瞑想法は、彼女の専門でしたが、それが彼女への誤解を呼びました。彼女の知識の多くは、「D.K」と称するチベット人からもたらされたものと言われています。その存在は、後にジュワルクール(Djwal Khul)であったとわかりました。彼女のどの本を読んでも、常識では考えられない真正の霊的知識が手に入ります。

これら秘密組織創設の父や母のことについて真価を認める人々はいましたが、彼らの数世紀にわたるミッションに対して不誠実な評価は常に存在していました。

その事をよく表している逸話があります。次のようなものです:


"あるところに、二人の哲学者がいました。二人は飲み友達で、いつもバーの同じところに陣取りに来ていました。酔っぱらった時には、たまに真実について語る時がありました。たまに「真実」の一端を垣間見ることもあれば、天の計画の一端が見えることもありました。ごくまれに、霊的智慧の最高の啓示を受け取って、魂の進化をすることもありました。彼らは、それらを忘れないうちに書き留めていきました。

彼らは、悪魔も哲学の力に気づいていることについては、知りませんでした。ある晩、悪魔が仲間と一緒に待ち伏せていて、奇妙なことを起こしました。いつものように二人がバーを立ち去った時、二人の様子が変でした。なにか、いつもと見た目が違うような、変身したような。悪魔は、襲い掛かる時が近づいたと思いました。

その時、哲学者たちの一人の手から、一片の紙が落ちました。そこには全能の神から受け取った言葉が記されていました。

悪魔の仲間は、もう一人の方の哲学者が気づかないうちに、すぐにあの神聖な真実が書かれた紙を回収するように小突きました。

「いやいや、その必要は無いよ。友よ。」悪魔は言いました。「真実の紙を見つけるまで待って、その言葉を胸に刻むべきだ。」自信がある様子でした。「まずは待つ。…組織を作るまで。そう、いつも真実を基にした組織を作り上げるのを待つべきだ。それを頑張って成し遂げた暁に、その理想的な組織を乗っ取ってしまえばいいのさ。」” [14]

 



薔薇十字団:イエズス会的ローマカトリック社会への反抗


フランシス・ベーコン卿は、エリザベス朝のでは比較的安全に地位を保つことができました。しかし、彼を陥れようとする動きが将来必ず出てくるだろうと予想していました。特に、ニュー・アトランティス計画のメッセンジャーを攻撃されでもしたら、全てがお終いです。

この観点で見ると、フランシス・ベーコンは最大の敵がローマカトリック教会の中にいるということをよく理解していました。彼がニュー・アトランティス計画の要綱を組み立てていた頃、Society of Jesus(SoJ/イエズス会)と呼ばれる男子宗教組織が結成されていました。1540年にイグナチオ・デ・ロヨラによって設立され、世界中のローマカトリックの利益を守るための準軍事組織が編成されました。

惑星地球で最も権威のある教会に、地位を約束されたイエズス会。その組織による作戦は、教会に属するどの組織による慈善活動よりも優先されました。事実、イエズス会設立の目的とは、反対勢力の討伐でした。彼らは、キリスト教を改革しようとする勢力に対して、あらゆる手段をもってこれを止めるということを、法律で保証されていました。つまり、地球上のあらゆる脅威に対して武力を用いて制圧していいという意味であり、それは実際に頻繁に行われていたことでした。

これが薔薇十字団が設立された時の、時代背景です。薔薇十字団の主要な目的とは、惑星上でイエズス会によって仕組まれた政治的、軍事的な陰謀を叩き潰すことでした。ニュー・アトランティスをイエズス会の攻撃や陰謀から守るためには、その計画の準備段階の情報を得ることが大事でした。ベーコン側の人々は、ローマカトリック教会の強大な力を十分認識していました。彼らは、ベーコンが率いる正義の集団がイエズス会の全ての企みを全て防ぐことが、ニュー・アトランティスの復活への最速の近道であるとよく認識しており、そのために適切に組織を強固なものにすることが重要でした。

薔薇十字団の元々の目的やミッションは、次の図に良く表れています。



フリーメーソンリー:33階級と、さらにその上

”「フリーメーソン・フラタニティー」の正確な設立時期と目的は、よく判っていません。フリーメーソンの研究家の見解では、中世の石工職人(ストーンメーソン)から発祥したとされています。フラタニティの儀式で使用される暗号やシンボルは、この時代に出現したと言われています。1390年に印刷されたリージャス・ポエム(Regius Poem)がフリーメーソン最古の文書と言われており、それ以前にも活動があったとされています。1717年、ロンドンにあった4つのロッジがまとまり、イギリス初のグランドロッジを形成し、そこからは公式の記録が残るようになりました。

たった30年の間に、フラタニティはヨーロッパ全域とアメリカの植民地に広がっていきました。フリーメーソンリーは、アメリカ植民地で人気を得ていきました。ジョージ・ワシントンもメーソンで、ベンジャミン・フランクリンもペンシルベニアのロッジでグランドマスターでした。ポール・リビアジョセフ・ウォーレンもマサチューセッツで同様でした。アメリカ建国者のなかで、他にもメーソンであったことがよく知られている人には、ジョン・ハンコックジョン・サリバンラファイエットフリードリッヒ・ヴィルヘルム・フォン・シュトイベンナサニエル・グリーンジョン・ポール・ジョーンズがいます。他にも、今日のアメリカ合衆国最高裁判所を作ったジョン・マーシャル長官がいます。” [15]


かつて、芸術や科学のあらゆる分野に基礎を体系化した組織が存在していました。フリーメーソンの元々の設立時期や場所、およびその目的は、歴史の中に消えてしまいました。その起源がこれから発見されるかどうかは、もうわかりません。古代エジプト、ペルシャ、ギリシャ、ローマ、イスラエルに類似した組織があった形跡も多くありますが、いずれも秘密主義に基づく組織であったため、公式の記録は全く残っていません。

フリーメーソンについて重要なのは、社会の中で重要な役目を持っている人々の間に強固なネットワークを保持していること、そして緊急の時にそれぞれ重要な役割を適切に果たしているという事実です。特に18世紀初頭のロンドンに設立されたグランドロッジ間のネットワークは、それに当てはまります。初期のアメリカ植民地に自らと同じようなネットワークを複製したのは、彼らでした。このネットワークを通じて、植民地間では重要な情報が交わされていました。イギリス本国から発効されてくる印紙法のように抑圧的な法律の数々への対抗策を取るための重要な情報もされていきました。

フリーメーソンはワシントンDCのいくつかの建物の設計に直接携わっていたという多くの証拠が残っています。それは、コロンビア特別区(訳注:米国の連邦政府所在地で連邦直轄地のことです)を見渡してみれば、かれらのシンボルが至る所に見つかるため、すぐに分かるでしょう。そして特筆すべきは、それらの建造物には最高の建築知識、テクニック、材料が使われているという点です。彼らにどのようなアジェンダがあったのか、それは推測するしかありません。しかし、そこにあった意思は誠実で、高潔かつ、神意に沿うものであったことは間違いありません。

フリーメーソンは、特にアメリカ独立戦争の期間に存在感を示していました。彼らのロッジが戦略的に配置されており、効果的な情報伝達システムを成していたのです。更に、ロッジはイギリスの圧政に対しての自由の砦として、植民地同士の生活の交流を促す組織として機能していました。フリーメーソンはイギリスに由来していたことは、植民地の方も色々と好都合でした。イギリス人が彼らに対し、どのようにネットワークを使ってくるかをよく理解できたからです。

革命戦争の後、フリーメーソンは多くの変化の時を迎えました。新たなアメリカ共和国のそこら中に散らばったロッジ。そこにイギリスの王族が後ろから侵入してきたのです。ロッジから侵入することによって、傍から見れば何も起きていないように見えました。それからは、今日までフリーメーソンは見ての通りの悪い評判を持っています。もちろん、共和国に裏切りと破壊が巻き起こったのは、低い階級のフリーメーソンなどの所為ではありませんでした。そういった複雑な陰謀は、いつもフリーメーソン33階級かそれ以上の階級の存在によって作り出され、何が起こっているのか分かっていない低い階級の者に、それらの計画を実行させるのです。




アーサー王と円卓の騎士


アーサー王円卓の騎士も、ニュー・アトランティスの到来を予言する寓話の一つです。アーサー王とそれぞれの英雄騎士は、新しい時代の階級制度のための、様々な貴族性を提示しています。勇者としての騎士道精神に加え、力と勇敢さ、寛大さと自己献身などについても示されています。それらの要素は将来の「騎士」の前提条件となる、精神的な知恵と一般常識、科学的ノウハウや技術となっていくでしょう。

アーサー王時代に支配的な概念であった封建主義的な社会は、より自由で公正かつ人道的で民主的なものに進化していきます。後のイギリスのルネッサンスでは、文明の進化が起こるに相応しい発達した高次の魂のための場所となりました。その最上の目的とは、アメリカ合衆国建国による、ニュー・アトランティスの誕生を実現することです。

エリザベス朝で活躍した人物による「シェイクスピア劇」は、アメリカ共和国の建国の父達のリハーサルだったのです。そしてアーサー王と円卓の騎士の物語は、後にエリザベス朝で起こることのスニークプレビューであったと言えるでしょう。

トマス・マロリーの著作アーサー王の死(原題は『アーサー王と高貴な円卓の騎士』)は、イギリスのウォリックシャーで書かれました。彼がこの作品を実際に書いたと言われていますが、彼自身の生き方についての記録を見ると、それは騎士道精神からかけ離れたものでした。それでも、彼の名前がそこにある以上、彼が「アーサー王の死」の著者であるということになっています。

フランシス・ベーコンがシェイクスピアの名前を使って数多くの作品を手掛けたように、「アーサー王と高貴な円卓の騎士」を実際に書いた人は相当な知識を持った哲学者であったはずです。アーサー王文学の原点である「アーサー王の死」は、後のアーサー王文学の作者が参考にしてきた主要文献となりました。

アーサー王の伝説では、150人ほどいる高貴な騎士の、それぞれのユニークな資質を描いています。アーサー王を含む、主要な12人の騎士のキャラクターは、ゾディアック(黄道十二宮)をそれぞれ表しています。それぞれのサイン(星座)が各キャラクターに割り振られていて、アーサー王という真の正義の旗のもとに統一を果たすとき、その使命を果たします。


イギリスのウォリックシャーにある、ストラトフォード=アポン=エイヴォンは同じくウォリックシャーにあるニューボールドレヴェルから25マイルほど離れた場所に位置しています。

ストラトフォード=アポン=エイヴォンはウィリアム・シェイクスピアの生まれ故郷であり、ロイヤル・シェイクスピア・シアターがありますが、実はトマス・マロリーの生誕地も同じくイギリスのウォリックシャーにあるのです。シェイクスピアとマロリーの生誕の地についての共通点は、神秘の一つとされています。どちらも、偶然と呼ばれる出来事や多くの人の人間関係などの、大いなる神秘の編み物を紡ぎだした人物として歴史にその名を残しています。その神秘の出来事をより深く調べるにあたり、以下のような主張がありますので、ご紹介いたしましょう。


サンジェルマン伯爵はマーリン、ロジャー・ベーコン、フランシス・ベーコンと同一人物だった?


サンジェルマン伯爵には、それまでに存在した大人物たちと共通した関係人物、場所、出来事を持っています。彼を、アーサー王の伝説に登場する伝説の魔法使いマーリンの生まれ変わりと主張する人も少なくありません。3人の大人物の人生には、同じ物語を繰り返しているような共通点が見られます。それぞれの人間関係について見てみましょう。1.アーサー王とマーリン。2.エリザベス女王とフランシス・ベーコン。3.ジョージ・ワシントンとサンジェルマン。


これら三人の指導者には、真の平等主義者であり、民主的な観点を持ち、正義の心と肝の据わった人物であるという共通点があります。それぞれのリーダーには、その時代、その運命において、革命的な新しい社会を作り出すことによって文明の道しるべとなる役目を果たしてきました。そして、それらの動きは誰にも止められない断固たるパワフルな勢力となっていきました。そして、それを実現させた背景には、「至高の力」による高次元の力によって導かれたかのような動きがありました。

同様に、この3人はそれぞれの時代の偉大な人物たちが味方に付いていました。マーリンの働きによって、最適なタイミングでそれぞれの騎士がアーサー王の前に現れたように、フランシス・ベーコンもエリザベス朝時代で活躍していました。彼の超秘密シェイクスピア作家団は、特別な秘教の知識をシェイクスピア劇の役者たちを通じて伝え続けています。

アメリカ独立戦争期まで飛んでみましょう。サンジェルマンがヨーロッパ各国に現れ、13植民地にまでも現れて、「時代のマスタープラン」に沿って行動しているのが見受けられます。彼は巧みな話術と交渉術を駆使して、完璧なタイミングで、直接あるいは間接的に、アメリカ共和国、イングランド、フランス、スペイン、ロシア、ドイツの建国に力を尽くしてきました。そして、「建国の父達」の間にも同様に現れては、彼らを適切な立場に導き、彼らの使命を全うさせることを影から支えてきました。

例えば、ラファイエットに資金提供をして、ジョージ・ワシントン将軍に会わせ、アメリカ独立戦争へと導いたのはサンジェルマンでした。二人は最初の会合にて、その友情を確かめ、独立戦争を共に戦うという使命を見出しました。そして、実際に成し遂げました。

建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンの科学の発展を先導したのがサンジェルマンの一面であったことも見逃せません。彼が電気を発見したエピソードは、今では世界で有名な逸話となっています。避雷針、遠近両用メガネ、走行距離メーター、フランクリンストーブ(訳注:扉が付いた暖炉のこと)、スイミング用のフィンなども、彼の発明品として有名です。サンジェルマンはさらに、湾流(訳注: メキシコ湾に発し、フロリダ海峡を通って大西洋に入り、アメリカの東海岸沿いを北上する強い暖流のこと) を図式化するように、彼に閃きを与えました。


フランクリン作成の、湾流の地図

サンジェルマンが過去のマーリン、フランシス・ベーコンとして転生していたのは、この偉大な3つの壮大な物語と、周りの偉大な魂を集結させるためだったと言っても過言ではないでしょう。サンジェルマンの神秘は比類するものが見当たりません。真に、彼の存在無くして、ニュー・アトランティスを北アメリカ大陸に蘇らせるという試みは起きなかったことでしょう。自由の国アメリカは、サンジェルマンのタイムリーで決定的な介入があったからこそ、実現できたのです。 




エリザベス朝においての啓蒙の時代は、いかにして大英帝国の誕生へと推移したのか?

歴史上、ある王国や帝国が「最良の」意図から始まったにもかかわらず、後に暴政へと変貌を遂げる国は珍しくありません。豊かで強い国や首都には、正義と悪の両方が集まるものです。バビロンとアレクサンドリア、エルサレムとローマ、パリとマドリード、ロンドンとワシントンで、それは起こっていました。相反する勢力を引き合わせるという、対立の法則に則ってこの繰り返しは起こっているのです。


特に国際関係論ではよく見られる現象ですが、既に長くなったこのエッセイで長く論じるのは避けようと思います。ロンドンはこの非常に大きな動きの中にいた所為で、最後は弱体化することになったと言えば十分でしょう。強大で巨大な富を得たエリザベス朝には玉石混淆な存在が集まりました。その強大な力が更に大きくなっていくのを止めることが誰にもできなくなったというのが実情でした。


多くの善良な人物がいて、このエッセイの中で紹介されてきました。彼らが成し遂げた偉業は、貴族的な意志として称えられています。中には卑劣な人物もいて、そのことはあまり知られていません。闇の側で働いていた主要人物は、エリザベス朝にもいました。彼の名はジョン・ディー。ディーは神秘の人であると同時に謎の多い男でもありました。彼はエリザベス女王の重臣や助言者の一人として王朝の内部にいました。そして全てはそこから始まりました。


歴史の中にジョン・ディーのような存在は何度も現れます。その例に漏れず、彼の役目はエリザベス朝の秩序を乱すことにありました。それは、運命によって仕組まれていたのです。残念ながら、ジョン・ディーの助言や正確な影響力については記録が残っていません。当時、彼がどのようなことを発言していたかについては推測しかできません。闇の存在は暗闇の中で行動します。よって、彼らの不正行為は記録されることはありません。


エリザベス女王の前で魔術実験を披露するジョン・ディー博士

ジョン・ディー博士について詳細が残っているのは、イギリスの歴史の運命の転換となった時のことだけです。1588年のスペイン無敵艦隊の敗北は、世界史における一つの転換期でした。その出来事以降、世界の中心はスペインやローマではなく、イギリスへと移りました。スペインとイギリスの有名な海戦は、エリザベス朝内部でのジョン・ディーの浮上によって始まりました。彼の助言と、それから良く知られているオカルトの力は、いつもイギリスを勝利へと導いていたからです。


"ディーは世界の科学から魔術を切り離しつつも、両方を使いこなしていました。当時、最も深い知識を持っていた人であり、20代前半でパリ大学でユークリッド幾何学の教鞭をふるうほどでした。数学や天文学にも驚異的な知識を持っており、更に航海術にも精通し、多くの航海士を養成し、イギリス人を発見の旅へと誘っていきました。

その一方で、ディーは魔術、占星術、錬金術(ヘルメティック哲学)の世界の探求に没頭していました。彼は死までの30年間に天使と悪魔両方と交流を図ろうとしていました。その目的は、創造神の普遍的言語を学び、人類の黙示録的な統一を目指すことでした。" [16]


彼は占星術と天文学両方と、錬金術とオカルトの達人として知られているだけでなく、極端な帝国主義者でもありました。そして、それはもっとも大きな弱点でもありました。この弱点は、ロンドンの商人階級の弱点であるとも言えるでしょう。大英帝国の急激な成長は、商人と銀行家によるものでした。歴史上の全ての帝国はこのように大きな成長を遂げていたことを、ディーの直観は知っていました。そして、イギリスが同じ方向性で成長をしていたことも。


ディーは「帝国成長ビジネス」を共にやろうとする同志を多く持っていました。「黙示録前の人類の統一」を作り出すための世界帝国を作り出そうという彼の思惑は、当時のロンドンの政治家の思想から急速に距離を取っていたビジネスマンたちの意図と合致するものでした。それは即ち、世界帝国の政策の下、外国の豊富な資源を奪うという意図でした。惑星上の大英帝国の急速な成長と拡大のためには、商人がそのエンジンの役割を持っていました。後にグレート・ゲームと呼ばれたこの関係を裏で操っていたのは誰だったのでしょうか?


"彼は時々現れてはエリザベス女王へ助言をし、フランシス・ウォルシンガムウィリアム・セシルといった彼女の大臣たちとの関係を作っていきました。更に彼は、フィリップ・シドニーや彼の叔父ロバート・ダドリーエドワード・ダイアーとの間に後援関係を持っていました。クリストファー・ハットン卿からも後援を受けていました。" [16]


イギリスの銀行と投資を支える集団の後ろには、見えざる後援者が多くいます。ただのビジネスマンですが、彼らは「会社」という概念を最初に打ち建てました。「会社」という企業実体をもって、イギリス人は帝国を拡大していき、太陽が沈まない領土を手に入れました。その最初の企業が、東インド会社でした。その軍隊の規模は、王の軍隊の規模を凌ぐほどに成長しました。会社の利益の巨大さを表す指標だけでなく、会社のお金の横領を防ぐための警護軍も必要としていたことが伺えます。

ジョン・ディーの真実の物語は、決して知られることはありません。しかしながら、インターネット上の彼のバイオグラフィから引用された次の文からは、彼の貯蓄額の膨大さと、彼のための「ニュー・アトランティス」を作りたかったということが窺い知ることができます。


"彼はその生涯の貯蓄をヨーロッパで一番巨大な図書館を作ることに費やしました。彼は学会での高い地位を持つことにより、エリザベス朝での重要な地位を持つことにも成功したのです。" [16]


新たな法律が制定される時、それは王国を敵対国から救うためというだけでなく、将来の帝国がその領海を維持できるかという点も精査されるというのは明白です。それについて君主は常に助言を求め、制定までに細心の注意を払います。エリザベス女王もそうでした。ジョン・ディーが呪文で精霊を呼び出したり嵐を呼び起こしたりできるのを良く知っていました。実際に彼が呼び出した嵐によって、スペイン無敵艦隊は海の藻屑となったのを見ていました。その恐ろしいオカルトの力が自国に対して使われるよりも、外国の国々に使わせる為の彼女の判断だったのかもしれません。


グレート・ホワイト・ブラザーフッドとアメリカの実験

そして、至高の意志に完璧に沿った、特別な企業もできました。アメリカ共和国の建国がまさに、その一例です。13の植民地が50の州に拡大するという致命的なミスはありましたが、アメリカ合衆国は「ニュー・アトランティス」になるべくして誕生したのです。

この話の意味:アメリカ共和国の建国のような偉大な起業活動は至高の意志により予め決められています。多くの支持者もいます。それでも、その計画が実現しない場合があります。特に、警戒を怠ったら最後です。この場合の警戒とは、良き政府の実現という至高の計画を外気に触れさせないように気を付けるという意味です。神聖な計画に繋がる正義の指導者が存在する一方、そこには闇の存在が常に周囲に現れます。そして、闇の存在は破壊活動や真の貴族の計画の乗っ取りを企みます。隠れて行うこともあれば、公然と暴力をふるうこともあります。

グレート・ホワイト・ブラザーフッドがアメリカの実験を計画し、実行したと気づいた者は多くはありません。ロジャー・ベーコン、フランシス・ベーコン、そしてサンジェルマン伯爵は、全て哲学と実験科学の達人でした。近代において彼のラボラトリーは、アメリカ合衆国という進化し続ける国にその場を置いています。


アメリカの実験を真剣に始めるにあたり、それに相応しい高貴な精神を持つ者が必要でした。トマス・ペインジョン・アダムストマス・ジェファソンベンジャミン・フランクリンジョージ・ワシントンサミュエル・アダムスジェームズ・マディソンジョン・ジェイジョー​​ジ・メイソンジョン・ポール・ジョーンズサミュエル・ハンチントンラファイエットは、数少ない真の英雄でした。穏やかな家庭や、生活の貯え、地位や名誉を捨てて勇気のある多くの働きを果たした人はそう多くいるものではありません。


それでも、13植民地が徐々に50の州になっていったことや、他の国の植民地支配といった二つの戦争を誤って起こしてしまいました。ニューヨークとロサンジェルスの二大都市、それからマイアミとシカゴは地球上の移民たちの入り口となりました。この流れもあって、アメリカ合衆国は地球上に類を見ない人種のるつぼとなりました。静かに、そして確実に、ニュー・アトランティスの実現が迫っていました。しかし、その計画も光側では無い者たちの潜入を受けてしまっては、全ては水の泡になってしまうのです。



アングロ・アメリカン帝国の合衆国段階

アメリカ合衆国こそが、本来のニュー・アトランティスの実現の場となるはずでした。独立戦争は、アメリカその存在の全てを賭けて戦われました。独立はさらに、ジョン・ディーの帝国主義とフランシス・ベーコンの国家主義が別れるきっかけとなりました。2016年の今日、グローバリズム方針をとるカバールは、元々大英帝国時代の帝国主義にそのルーツがあります。その帝国主義は、ジョン・ディーの帝国主義なのです。反対に、アメリカの愛国主義運動は、フランシス・ベーコンと彼の同志たちの目指したニュー・アトランティスの考えを反映しているものなのです。


最初期のジェームズタウンへの定住にトラブルが頻発したのは、まさにこのことが原因でした。その試みは、ジョン・ディー率いるカバールの企みによって深刻な妨害を受けた、フランシス・ベーコンとその同志たちの試みを反映していたのです。ニュー・アトランティスの舞台は、ベーコンの計画によって植民地化され、個人の真の独立と高貴な国家主義を持った国となる予定でした。ディーは新世界の資源を求め、大英帝国の領土拡大方策につけこみました。


アメリカ合衆国の独立の機運が高まり、経済発展を遂げるにつれて、ジョン・ディー側の隠されたアジェンダが優勢となっていったのでした。彼は新大陸が大英帝国(とNWO新世界秩序)による全世界の中央銀行にさせられた挙句には、大英帝国直属の軍隊へと変貌を遂げることを予見していました。ニューヨークシティーとワシントンDCは、大英帝国の利益を真っ先に生み出せるように、何十年にも渡って慎重かつ意図的に作り出された都市です。その他の州は低い地位へ降格されました。現在のアメリカ合衆国の各州の差を見ればお分かりの通りです。


ここにアメリカ建国当初から続く抗争の原型を見ることができます。アメリカを巡っての戦いは全て、ディーのアングロ・アメリカン世界帝国とベーコンのニュー・アトランティス構想の間に起きた戦いだったのです。


アメリカは巨大な企業体として、またはテクノロジー発展の場として、システマチックに作り上げられました。科学技術の発展は、ベーコンの意志に完全に沿うものです。軍事技術のほとんどは反対に、ディーの意志に沿うものです。この企業体の裏には、オカルトの力が渦巻いており、それは世界規模で凶暴な力をふるっています。「全能のお金」という全く新しい神を崇拝させるように仕向けています。


世界は今、二極化しています。USドルを世界の準備通貨として使用し続ける陣営と、銀行システムや投資、主権者責務、国際取引の場からドルを排除しようとする陣営です。この地球上の隅から隅まで起こっている本当の抗争が、この戦いです。イラク戦争、リビア戦争、ウクライナ戦争、シリア戦争は、ディーから始まった世界制覇を企むカバールが最近引き起こした例にすぎません。現在ではNWO(新世界秩序)のネオコンカバールとして知られている存在です。

結論


これから書かれる結論に、多くの読者はショックを受けるかもしれません。上に書かれた史実を繋げていくと、ある結論に達します。ここで語られてきたような、高度に進化した魂のグループが、共に歴史の重要な場面にまとまって転生してきているとしたら?


学識ある歴史家や、秘教占星術師がサンジェルマン伯爵とフランシス・ベーコン、ロジャー・ベーコンが同じ魂を持った転生者だと主張するように、現代の皆さんの中の非常に優れた大人物もソウルグループから生まれてきたのかもしれません。それぞれのグループが驚異的な働きをしてきたことを鑑みると、このことを理解することは決して難しいことではありません。


アメリカ独立戦争前後のサンジェルマンの直接の参加こそが、同じ魂が世界の運命を決する時に集団で出現しやすいということを証明しています。その魂たちが過去世で共にニュー・アトランティス建造の計画をしていなければ、アメリカ合衆国の建国と絶対にあり得なかったでしょう。


アメリカ合衆国が無ければ惑星の文明はここまでの苦境に立たされなかったと主張する方も多いと思われます。しかし、アメリカの実験は実はまだ続いているのです。そう、研究ラボは何度も破壊されてきましたが、そのたびにラボの場所は変更されただけで決して潰えたわけでは無いのです。アトランティスが大西洋に沈んだ時も同様です。


今まさにこの瞬間にも、新たなラボは建造されています。ウラジミール・プーチンのロシア連邦です。さらに、BRICSの合体が成立すれば、それはアメリカの実験後の次の段階に相応しい素晴らしい出来事となるでしょう。人類の進化を目的としたこれら善良な魂の集団が次に訪れたのは、クレムリンの地かもしれないのです。エドガー・ケイシーも、ロシアが世界の希望となることを予言していました。


「世界の希望がやってくる。時に共産主義とかボルシェビズムとか呼ばれているものには関係がない。そうではない! 自由だ、自由がやってくる。すべての人が同胞のために生きようとすること。この原則はそこで生まれた。それが結晶化するまでには長い年月を要するだろう。しかしロシアの中から、再び世界の希望がやってくるだろう。」


まさか!?シェイクスピア劇の続き、ずっと続いてきた壮大な悲劇と喜劇の続きはロシアが舞台に?それは時間だけが知っています。カリ・ユガの黄昏は、運命の日に近づいています。


…時だけが、結果を教えてくれるのでしょう。

Cosmic Convergence Research Group

March 6, 2016

翻訳:NOGI

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